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2006/06/07

名人伝

オンライン書店ビーケーワン:李陵・山月記僕の好きな作家に中島敦という人がいます。この名前を覚えている人はとても稀ですが、この人の「李陵」という作品を知っている人はとても多いです。それもそのはず、国語の教科書に載っているので普通に勉強していれば誰でも一度は読んだことがあるのですから。

ここでは僕の大好きな「名人伝」という作品を紹介します。
この作品は、文庫本にして約8ページほどしかありません。内容も要約するとほぼ全てを説明できてしまうほどの量ですが、とても奥が深くて語りつくせないのです。

あらすじは、
「弓の得意な若者が修行をしていて、弓を極めた人が山にいると聞いてその人のもとに弟子入りする。そして、帰ってきた時には弓のことを忘れている」
というものです。

あらすじでは全然想いが伝わりませんよね。「何がすごいの」とか「よくある話だ」と感じる人もいるかもしれません。しかしそこは天才中島敦のこと、8ページほどの作品の中にある文章は全て芸術に近い重みを持った言葉の積み重ねであり、その文章を読みながら湧き出るイメージの波に飲み込まれてしまいそうなくらいです。
読み終わった後、この作品について思いを巡らさないことなどできない。そして、自分ばかりか世の中を見つめなおさずにはいられない。

これが大人のための作品です。
先日、脳を鍛える大人の名作読本などというものを紹介しましたが、「名人伝」を読んでもらえれば、この本にとりあげられている作品がどれも子供のための本であることが理解してもらえると思います。

内容の濃い映画やドラマを見ると、たとえ1時間しか見ていなくても3時間が経過したような気になることがあります。それと同じで、この作品は8ページしかありませんが読み終わった時には数巻続いている小説を読んだ後と同じくらいの印象が残ります。

安っぽい、ありきたりな本に飽きた人は一度読んでみてはどうでしょうか。本で読むことをお勧めしますが、下記リンクでも全文を読むことができます。
青空文庫

最後に、僕はこれを大人のための作品と言いましたが、本当は高校生くらいの時に読んでおいたほうが良いと思っています。そして、その意味を考え尽くしておくのです。本は子供の頃に読めるだけ読んでおいて損はありません。良い本に出会い、よく思考することで、矛盾があり納得がいかないことがある世の中に自分の存在意義を見出すことができるようになるのだと思います。そうすれば、いつでも自分がしなくてはならないこと、目指さなければならない未来に目を向け、道からそれることなく生きることができるようになるのだと考えています。

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