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2006/05/21

脳を鍛える大人の名作読本

オンライン書店ビーケーワン:脳を鍛える大人の名作読本 1
かみさんが日本語の先生から日本語の勉強にと借りて来た本です。

見た事の無い本が机の上にあったので何も考えずに開いてみると、それは数々の名作と呼ぶにふさわしい過去の作品がまとめられている本で、字も大きく、全ての漢字にふりがながふってあり、とても読みやすい本でした。「どうしたのこれ?」とかみさんに尋ねると、「日本語の先生が貸してくれた」とのことなので、「ああ、外国人が日本語の勉強に使う本なのか」と思ってタイトルを見てびっくり。「脳を鍛える大人の名作読本」?!こんなの読んで本当に脳が鍛えられるのか?!というより、こんな本を読んで脳が鍛えられる人ってどんな人なんだ?!

確かに取り上げられている作品はどれも「名作」ですが、どの作品も読むだけで内容が心に届く作品ばかりで、脳を使うとはとても思えないものばかり。僕は芥川龍之介の作品が好きなので、彼の作品をいくつか取り上げているのは個人的に好感を持てますが、いずれも大人の読み物とは到底思えない作品ばかりが選ばれているような気がします。中には小学生の頃に、もっと小さな字で勉強した作品もあります。
芥川氏の作品ではありませんが、去年の年末に5歳の娘のために買ってあげた作品も含まれていました。

刊行にあたって添えられている文の一部に、
「読書によって脳が活性化し、脳の働きを鍛える事が可能である事は、最新の脳科学研究成果によってあきらかになっています。」
と書いてありますが、そう言われても大人は恥ずかしくてこんな本買えません。対象者が間違っているような気がしてなりません。この本は明らかに小学生か日本語や日本の文化を勉強している外国人向けの本のように感じられます。実際に、かみさんの日本語の先生は日本語の教育に使っていますし、どの作品も今は失われつつある日本の根底にあるべき文化を美しく表現された名作ばかりで、僕も読んだ事の無い人がいれば読む事を薦めたくなる作品ばかりです。

ここで感じたのは、「今の日本人はそれほどまでに本を読まないのか?」というのと、「科学的に証明などするまでもなく、普通は読書をすることの素晴らしさを子供の頃に認識しているのではないか?」という疑問です。監修されている人の時代認識と僕の認識には大きなずれがあるのかもしれないけど、彼の認識が間違いであることを切に望んで止みません。もし監修者の認識が正しいのなら、僕たちは先人達が命をかけて培ってきた素晴らしい文化の一つを後世に伝えるどころか、堕落させ、放棄し始めているような気分にすらなってきます。
相変わらず「杞憂」ばかりを大げさに述べているだけかもしれませんけど...。

ただ、本を読まないというのは大変もったいないことですよ。もし、愛読書を一冊も持たない人がいるなら、是非色々な本を読んでみて下さい。人は本から多くのことを学べますし、ぼけ防止として老後のためにもなるそうですので、まさに「一石二鳥」です。

人はお金や物品による裕福を求める時、その先にある道もその後の道も全て茨の道であり、実際に裕福であると感じられる事は稀です。ですが心の豊かさを求める時、人は幸福を覚え、裕福になったと感じる事ができるようになれるのではないでしょうか。読書はこの心の豊かさを得る一助になると言えます。

この本を散々非難してきましたが、もし本を読まない人がこの本を手にし、読書の楽しさを実感するならば、この本は何物にも代え難い宝物になることでしょう。

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